当蔵にて、年に一度の伝統行事「呑み切り」が8月5日に開催されました。
呑み切りとは、タンクの中のお酒を少量取り出して、品質を検査する酒蔵の伝統行事です。
お酒の色や香り・熟成具合のチェックをし、「火落ち」などの異常がないかを確認します。
「呑み切り(のみきり)」の語源は、「栓を切る」ことに由来します。
貯蔵タンクの栓を「吞み口」と呼び、その栓を開けることを「切る」といいます。
呑み切りは、日本酒を貯蔵している【全ての】タンクを対象に行われます。
昨冬に仕込んだお酒は、タンクの中でじっくり熟成。
その品質が最も変化しやすいのが、気温と湿度が高くなる夏場です。
その時期に、蔵人たちが「呑み切り」を行い、新酒販売に向けて準備を進めていきます。
「火落ち(ひおち)」とは、清酒の白濁・酸味・異臭が発生して品質が大幅に劣化してしまう現象のこと。
「火落ち菌」という特殊な乳酸菌が繁殖することで起こります。
多くの細菌はアルコール度数が高い環境では生きられませんが、火落ち菌はアルコールに強い耐性を持っています。
火落ちした酒は出荷できなくなるため、廃棄せざるを得ません。これは酒蔵にとって大きな損失となります。
全ての貯蔵タンクの栓を開け、中の原酒を取り出します。
今年は特に暑い夏場環境での作業となりました。
万が一火落ちが見られた場合に、火落ち菌の移りを防ぐため、タンクの中からお酒を取り出す作業は、決まった担当者が行っています。
タンクを移動する度に、徹底した殺菌消毒を行い、使用する道具や瓶を高温で煮沸して、雑菌が混入するのを防ぎます。
呑み切りで取り出されたサンプルの品質を確認するため、専用の分析室へと運ばれます。
ここでは、お酒の味わいや香りを数値化する、科学的な分析が行われます。
「呑み切り」は、単なる品質チェックに留まらず、蔵人が一年間の努力の成果を確認し、最高の状態でお酒をお客様に届けるための、重要な製造工程の一つです。
蔵人たちが心を込めて仕込んだ今期の新酒を、どうぞ楽しみにお待ちください。
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